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ATA 2014: Pictures and Sound: Translating Television and Other Audiovisual Media

November 25, 2014 By JLD Administrator Leave a Comment

講演者:Sarah Lindholm
報告者:大平和美

今月始めにシカゴで開催されたATAの55th Annual Conferenceで、Sarah Lindholmさんのプレゼンテーション「Pictures and Sound: Translating Television and Other Audiovisual Media」を視聴する機会に恵まれました。画像と音声を普段から扱ってお仕事をされているLindholmさんらしく、ビデオクリップの例も含む大変わかりやすいスライドショーを使ってのプレゼンテーションでした。

テレビその他の視聴覚メディアを訳す際に常に念頭に置かなくてはならないことは、「映像(ビデオ)と音声(オーディオ)は相互関与する形でしか存在しえない」ということです。視聴覚メディアの翻訳・ローカライゼーションとは、単に字幕テキストを訳したり、音声をソース言語からターゲット言語に吹き替えたりすることを指すのではありません。同時に起っている映像と音声の組み合せを翻訳・ローカライズすることを指します。つまり、翻訳のソースもターゲットも、常に映像と音声の両方であるということです。この点については、プレゼンテーションの後で、さらに詳しく例を使って説明がされました。

翻訳・通訳業に携わる者は自分の専門分野を持たなければならないということがよく言われます。視聴覚メディアの翻訳では、翻訳している視聴覚メディア自体が専門分野ということもあり得ます。例えば、映画の字幕や吹き替えに携わる人は、映画が翻訳の専門分野です。

映画の翻訳に携わりたいと考える人は、普段から映画を見る際に、「この映画は何についての映画だろうか」、「この映画は、誰の視点からのストーリーだろうか」(例えば、「No Country for Old Men」は、Tommy Lee Jonesが演じる保安官の語りが映画の骨子にあることを理解しなければ、ただの殺し屋の話になってしまいます)、「この映画は自分にとって面白いだろうか」、「どうしてこの映画は自分にとって面白いのだろうか」、「どうしてこの映画は自分には面白くないのだろうか。誰をターゲットにした映画なのだろうか」等を考え、映画に対する感性を養う必要があります。

映画の翻訳とは、脚本の翻訳でも、ダイアログの翻訳でもありません。同時に起る映像と音声の組み合せが映画であり、この両方を考慮しながら翻訳を行わなければ、とんでもない間違いを犯すことになる場合もあります。このことを説明するために、「Kaze no Stigma(原題:風の聖痕)」と「.hack//Quantum(原題も同じ)」という2つのアニメのビデオクリップが例として使われました。特に私の印象に残ったのは、「Kaze no Stigma」のビデオクリップの例です。これは、悲しんでいる弟を慰める兄が「それだけじゃ不満か」と問いかけ、弟が首を横に振るシーンです。この場合に、スクリプトだけを見て単純に“Isn’t it enough?”と訳すと、弟は“Not enough”と、まったく正反対の意味の答をしたことになってしまいます。Lindholmさんが映像を見て、弟が首を横に振っていることを考慮にしながら実際に付けた字幕は、“Are you dissatisfied?”でした。この訳なら、弟は“Satisfied”と答えたことになり、字幕が映像ともしっかりマッチしています。

字幕の長さは、顧客や観客、メディアが視聴される環境(映画館、DVD、Blue-ray、オンラインビデオ)等によって異なります。観客の読むスピード(アニメの観客は相対的に字幕を読み慣れているので、少々長い字幕でも大丈夫だそうです)や映像の口の動き(映像では口が動いているのに字幕が表示されていないというのは不自然です)等にも気を付ける必要があります。

最後に字幕を付ける際に使えるMedia Player Classic、Aegisubといったソフトウェアが簡単に紹介されました。

私もたまに英語のビデオに日本語の字幕を付けたり、日本語吹き替えのための原稿を用意したりするのですが、今回のLindholmさんのプレゼンテーション通して、たとえ訳すのがノンフィクションのビデオであっても、映像と音声のつながりを常に意識しながら翻訳を行っていくことの重要性を改めて認識させられました。

Lindholmさんは、“the Detail Woman” (https://sal.detailwoman.net)というウェブサイトも立ち上げておられます。視聴覚メディアの翻訳に興味のある方は、ぜひこのサイトもご覧になってみてください。

Filed Under: ATA Conference, ATA55, session summary

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