JLDのATA認定試験ワークショップを前にして、有志による英和翻訳勉強会があることを紹介する記事を書いてください、と依頼された。
私たちは2人〜6人体制で勉強会を運営してきた。ATA認定試験に合格して「卒業」した人もいるが、近い将来受験したい人、将来いつか受験してみたい人、他国で既に翻訳認定資格を持っている人など、いろいろなメンバーがいる。認定資格を持っているが、「勉強会とはどんなものか、どうやって運営するものかを体験したい」と参加している人もいる。6人を超えると、試訳の交換・採点などの運営が複雑になるので、それ以上になる場合は、2グループに分割したいところである。
ATA認定試験に合格する近道は、試訳を交換してコメントを受けることだ、とATAやその支部のカンファレンスで複数の合格者から聞き、どうやって仲間を集めたら良いのだろう、とかなり前から思っていた。コロナ禍により、Zoomオンライン会議が可能になり、ATAオンラインカンファレンスで「ベテラン翻訳・通訳者だがATA資格を持っていない人」を見かけ、声をかけてみた。2人体制の頃は、Zoomでなく、電話で評価会をした。その後、ATAやJLDの名簿を見て声をかけ、アメリカ国内に限らない勉強会(Zoomを使う)がスタートした。
ATA認定試験はエラーポイント減点方式のため、どこから見ても正しい訳を作る必要がある。自分が気づかなかったエラーポイント要素を指摘してもらうのは勉強になる。
課題は、新聞・雑誌記事(社説、論説、オピニオン記事がレベル的に適切)から採ることが多いが、専門的になりすぎないようにATAの他言語部門の勉強会で使っている課題セットを手に入れて使ったこともある。文字数は、ATA本部による225〜275ワードの長さを守り、本番に近い環境(タイマーをセットして試訳し、許可されているウェブサイトのみ参照する、など)で挑戦する。
月に課題一つに取り組む。第1週末までに課題を発表し、第2週末までに試訳を提出、第3週末までに採点を提出し、第4金曜日(アメリカ時間。日豪時間では土曜日。JLDオンラインイベントと同じ時間帯)にZoomでリアルタイム評価会、というのが基本的スケジュールである。
私たちは、ATAで使う採点票(framework)を使って採点している。客観的な採点となるように、エラーのカテゴリー名と減点の点数を表記し、コメントを付ける。評価会では、採点してもらった翻訳をスクリーンでシェアしながら、疑問点などについて話し合う。
私たちの勉強会では、NDA(non-disclosure agreement)的な約束事にサインしていただいている。会でシェアされた内容や資料は、勉強会の外に出さないこと、また、メールなどでの連絡をきちんとすること、提出が遅れる場合は、事前に伝えれば調整してもらえるが、「梨の礫」状態にしない、ということである。また、「将来翻訳者になりたい人」ではなく、「プロ翻訳者としての経験がある人」が条件である。関心がある方や参加してみたい方の参考にしていただければ幸いである。
他の参加者の感想として以下をいただいた。「もう一年以上も毎月勉強会を続けてきました。これは美紀さんのまとめ役としてのおかげです。去年、認定試験を受けてみましたが通らず、落ち込みましたが、皆さんのコミットメントに大変励まされました。しかし、この勉強会を通じて通訳翻訳についての相談事など、勉強会の残った時間になんでもざっくばらんに話し合える同僚が、アメリカ、日本、オーストラリアに出来たことが一番大きい見返りかもしれません。」
著:アレン美紀
編:ハーバート朋子


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